たくみ ふじ
1982年より児童指導員としてキャリアを開始し、児童養護施設や障がい者支援施設に長年勤務 。虐待や貧困、障害など、様々な困難を抱える子どもや利用者たちと向き合ってきた。
自身の体験を基にした『境界線の上で』では、支援する側とされる側の「境界線」に立ち続けた日々を克明に記録。心に傷を負った子どもたちとの葛藤、1987年の韓国ソウルでの滞在を通して触れた歴史の痛み 、そして1995年の阪神・淡路大震災における、自身の第二子の誕生と重なった被災と支援活動の壮絶な体験は、その後の福祉観に大きな影響を与えた。
救えた命と救えなかった命の両方を見つめてきた記憶を通して、福祉という仕事の厳しさ、尊さ、そして絶望の中に見出す希望の光を描き出している。
『残された子』では、戦後の混乱期に生きる子どもたちと彼らを支えた施設職員の姿を通して、家族とは何か、人が人を思うとはどういうことかを問いかける。著者は、実在の施設や証言をもとに綿密な取材を重ね、フィクションの枠を超えたリアリティと感動を生み出している。
人間の弱さと強さを見つめ続ける著者の作品は、時代を超えて共感を呼び、読む者の心に深く残ることだろう。
『ネザーワールド・リヴァイヴ(冥界蘇生)』では、「完璧な英雄ではなく、弱さや過去を持つ不完全な存在が、誰かのために立ち上がる瞬間にこそ物語は生まれる」というのが信条。宇宙の存亡を賭けた戦いの最中でも、一杯のコーヒーや、愛する者との何気ない会話の価値を描くことを忘れないその作風は、読者に「本当に守るべきものは何か」を静かに、しかし強く問いかける。壮大な叙事詩と、心温まる日常劇(陽だまり)をシームレスに繋いでいる。





